「まちの整体」は既存の更新が前提であるが、
集団移転は全く新しい身体として生まれ変わるに近い。
被災しなくとも数十年後にはおそらく、
まちをたたむか否かの選択を迫られたことであろう。
そのような小泉に何十年・何百年もまちを持続できる
ポテンシャルはあるのだろうか。
正直悩ましい。
しかし、そこで生きる人々が希望と意欲をもって生まれ変わりを望むのであれば、
専門家として全力で支援したい。
子供・孫そしてその次の世代への想像力を働かせることができれば、
持続可能な新しい身体を得る絶好の機会である。
集団移転は未来への贈り物である。
国や県レベルでの復興計画がなかなか見えてこない。
このまま地方を放置していると、外へ移住する人が増えるのは確実だ。
これは税金を使わない最も簡単な縮退誘導ともいえる。
今回の被災と地域の特性からして、
トップダウンによるある程度強制的な絵を描き実行することが必要であるが、
国民は人間として思いやりのない計画には決してついていかない。
小泉のように既に現地では様々な復興への芽生えが始まっている。
ボトムアップを最大限に引き出すトップダウンの施策。
人々は信頼できる日本の将来ヴィジョンを求めている。
<2011年7月16日(土)付北海道建設新聞より『集団移転は未来への贈り物』森傑氏>
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