縮退という言葉が普及して久しい。
例えば限界集落という見方でいえば、
北海道では近い将来消滅すると予想される集落は百数十にのぼるといわれる。
しかし、このような消滅という衝撃的な未来予想図でさえも、
国全体が人口減少しているのだから仕方がないと、
妙に世間は納得しているところがあるようだ。
はたしてそうだろうか。
かなり不合理な消滅もその中には多いのではないか。
先の比喩に絡めると、
ドーピングが切れたあとの急激な衰弱と治療と称した大手術や投薬による寝たきり状態、
その行く末としての消滅なのではないかと思っている。
日本の地方都市のあり方として挑戦的に検討したい将来像がある。
これからの急速な人口減少を見据えると、大都市や中核都市へ人口が移動し、
弱小都市は消滅していくと想定するのが一般的なリアリティであると思うが、
あえてそれとは異なる将来の可能性を描いてみたい。
それは、日本各地で1万人規模のまちが自立的に持続していくような時代、
大都市・中核都市は大幅に人口が減少するが、
地方の小都市は「まちの整体」に取り組み、
人口1万人を維持していくというあり方である。
<2011年7月16日(土)付北海道建設新聞より『集団移転は未来への贈り物』森傑氏>
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